果 新

鈴鹿緑烟の山々、広がる蒲生野。

大地に秘めた古代からのエネルギーは清流と共に琵琶湖にそそぐ。

なだらかな布引の丘の田園を吹く風は、多くの萬葉の香りを運ぶ。

遠く松緑の山並みと天空の境をじっと見つめていると、

天地の恵みをいっぱいに受けて、無尽の出逢いを観じる。

 

『自然の中で作るように 己が生かされ形あるように

心の形を 土に体を そんな仕事

ありがとうと一日も早く 知りたい』

 

自らの二本の足でしっかり大地を踏みしめ、

大自然の厳粛な試練に忍び耐え、各々がいのちの實になることを信じ、

新たに越えて行きたいと願いながら…。

 

以下、YouTube動画です。

https://youtu.be/ztQcFbscLm8

福始窯と虹

 

 

●陶展によせて

 

「年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず」

季節は巡り、やきものをつくることで、私の中で何かが変ってゆくように感じます。

同じことを繰り返し繰り返しやっていることが自分を変えてきている。

そんな私を知ることが驚きであり、不思議に感じたりします。

とても嬉しく楽しくなる時もあります。

 

ある師より、生きることは学習であることを教えていただきました。

何でも辛抱して、時が経たねばものごとは実らないでしょうが、

そのひとつをやめずに繰り返し繰り返し学んでゆく、そこに真の喜びがあります。

正しく学び、朋友と出逢い、楽しんで深くまた進んでゆく。

陶の道、仕事は面白いなあと感じております。

 

高村光太郎の詩に、「・・・・・物そのものは皆うつくしく あへて中間の思念を要せぬ 美は物に密着し 心は造型の一義に住する ・・・・・ 月にぬれた自分の手を見る」。

同感です。

「知る人ぞ知る、見る人ぞ見る」・「如実知自心」

「其の道を楽しんで人の勢を忘る」(楽其道而忘人之勢)[孟子・尽心篇]

気象萬千の観であり、ああ、まだまだ勉強勉強です。

 

「清らなり」これも教えて頂きました言葉ですが、源氏物語の最高の美しさを表す言葉です。うれしい出逢いですね。

拙いものですが、素晴らしき御出会いに感謝し、皆々様にご高覧賜りたく存じます。

 

福始窯 竹村嘉造 拝



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